離婚に伴う慰謝料

夫婦間の婚姻関係が破綻して離婚に至った場合、その責任の所在については、①夫婦のどちらか一方に責任がある場合と、②夫婦のどちらか一方に責任があるとは言えない場合との2つの状況が考えられます(あたりまえですが・・・)。

 

②は、例えば、もともとの性格の不一致や婚姻後の生活のすれ違いなどが原因で、お互いが相手に対して違和感ないし嫌悪感を抱くようになり、別居や家庭内別居を経て、最終的に婚姻関係の破綻に至る場合などです。

要するに、「どっちもどっち」の場合です。

このような場合、離婚にともなう財産分与(婚姻期間中に夫婦の協力によって形成された財産を夫婦で分け合うこと)をどのように行うかの問題は起こりえても、慰謝料の問題は起こりません。

 

これに対し、①は、例えば、夫婦の一方が不貞行為(いわゆる「不倫」)に及んだとか、相手に対して日常的に暴力を振るうなどした結果、婚姻関係の破綻に至った場合などです。

このような場合は、不貞行為等の有責行為をされた側は、有責行為をした側(こちら側を「有責配偶者」といいます)に対して、離婚を余儀なくされたことについての慰謝料を請求することができます。

 

慰謝料の金額は、判決離婚の場合は、有責行為の違法性の程度や有責行為が継続された期間のほか、婚姻期間、年齢、双方の資力、社会的地位等を総合考慮して裁判所が決定します。

金額は、ざっくりしたイメージですが、裁判所が決定する場合、500万円を超えることは稀で、200万円から300万円の間に収まることが多いのではないかと思われます。

協議離婚や調停離婚、和解離婚の場合は、夫婦間の合意で慰謝料の金額が決まりますが、基本的には、裁判所が判断したらだいたいいくらぐらいになる、ということを基準に話し合いで決めることが多いです。

有責配偶者側が、どうしても離婚したいからといって、相場を大きく上回る金額を提示することもあるでしょう(このような場合は、「慰謝料」としてではなく、「解決金」、「和解金」などといった名目で支払われることが多いと思います)。

 

なお、婚姻期間中に夫婦の協力によって形成された財産がある場合は、慰謝料の支払いとは別に、財産分与によりこれを夫婦間で分け合う必要があります。

 

余談ですが、既婚男性の中には、風俗店での性行為は不貞行為にはあたらないと考える人が多いようですが、これは間違いです。

風俗店での性行為も、一般女性との性行為と同様、不貞行為にあたる可能性があります(たとえ「本番行為」でなくても)。

勘違いされている方は注意(?)が必要です。